WinDroid

https://nikkiandroid.blogspot.com/

アメリカによるHuaweiの制裁問題を考える

2019年5月、トランプ大統領の「情報通信技術とサービスのサプライチェーンの保護に係る大統領令」を発端にアメリ商務省が「禁輸リスト」にHuaweiとその関連企業を追加したことにより、HuaweiGoogleIntelクアルコムマイクロソフトなどのアメリカ企業との取引が停止されました。

ãHuaweiãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

 

  • この制裁が及ぼす影響は?

影響がもう出始めています。5月22日にはdocomoがP30 proの予約の停止を発表し、auとワイモバイル、UQモバイルがP30 lite(premium)その販売の延期と予約の停止を発表しました。

ドコモからのお知らせ : 「ドコモ スマートフォン HUAWEI P30 Pro HW-02L」の事前予約受付の停止について | お知らせ | NTTドコモ

 

HUAWEI P30 lite Premium(ファーウェイ ピーサーティー ライト プレミアム) HWV33 | スマートフォン(Android スマホ) | au

 

「HUAWEI P30 lite」の発売延期について|新着情報|お知らせ|Y!mobile - 格安SIM・スマホはワイモバイルで

 

米商務省は5月20日、禁輸措置をめぐり、通信ネットワークの保守など一部業務に限って90日間猶予すると発表していますが、90日後以降は完全に不可能になることから既存のHuaweiスマートフォンはGooglePlayなどが利用できても、OSアップデートなどは受けられなくなる可能性がかなり高いです。

 

・ソフトウェア面

GoogleオープンソースのAndroidOSをもとに様々なサービスを展開しています。OSアップデートやセキュリティパッチなどの技術的なサポート、GmailGoogle playストアなどもこれに含まれています。

f:id:kanra201:20190522225608p:plain

Googleが展開するサービス群

Androidスマートフォンを購入した時、初めにGoogleアカウントへのログイン画面が出ることや、様々なGoogle関連のアプリがプリインストールされているところから、大きくGoogleに依存していることがわかりますがこのGoogleに関連する機能がすべて使用不可になるということです。

Gmail

Google Playストア

YouTube

Googleドライブ

などのGoogleが提供しているサービスをHuaweiは今後プリインストールして出荷することができなくなります。中国国内ではGoogle関連サービスの利用が禁止されていますが、国外での影響はかなり大きいとされます。

 

・ハードウェア面

Huaweiはハードウェアの多くの部品をアメリカ企業に依存しています。ほとんどのCPUは傘下のハイシリコン製のkirinシリーズを採用していますが、P20 proの例を挙げると、メモリは米Micron社製のDDR SDRAM、CypressのBluetoothモジュール、SkyworksのLTEモジュールを使用しているなど、この限りではありませんがかなりアメリカ企業の部品に依存しているのが見て取れます。今後これらが利用できないとなると、多少なりともの影響は必須です、

 

・現在発売中の機種ではGoogleのサポートが受けられる(はず?)

 Google20日に既存のHuawei製デバイスのユーザーはGoogle PlayストアとGoogle Play Protectサービスを引き続き利用できると発表していますが、OSアップデートやその他のサポートが今後どうなるかについては言及されていません。

またHuaweiは「既存のスマートフォンタブレット製品のすべてにセキュリティーアップデートとアフターサービスを提供し続ける」と発表しましています。

 

・ユーザーにとっては全く好ましくない問題

 Google関連のサービスはスマートフォン、パソコン、テレビなどに広がり現在は生活の一部になっていると言っても過言ではない状況になります。この中でスマートフォンGoogleが使用できないとなると大きな問題ですが、完全には利用できないわけではありません。米国政府が禁止したのはHuaweiへのアメリカ製品の輸出であり、そのHuaweiスマートフォンを利用するユーザーがGoogleなどのサービスを利用することを禁止しているわけではありません。例えばAmazonが販売しているFireタブレットは、androidベースのFire OSを利用しており、GooglePlayストアを利用することができませんが、非公式に手動でインストールすることができます。

ãFire OSãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

しかしながら非公式な手段ですので基本的には使用することができないと考えられます。いくら高性能でも日常利用されているGoogleサービスが無いスマートフォンを購入しようとする人はいないでしょう。このような大国同士の貿易戦争が一般ユーザーに影響を与えることは良くないことであり、関連してナイキやアディダスなど著名ブランドを含む靴メーカー約170社が20日、トランプ氏に「消費者と企業、そして米経済にとって破滅的な影響をもたらす」と公開書簡を宛てています。

Huaweiスマートフォンだけではなく、Windowsノートパソコンも手掛けていますが、Intelから製品の供給を受けないと成り立たせることがは不可能といえるでしょう。

consumer.huawei.com

 

 

  • まとめ

    この問題から考える、アメリカ製品のリスク…

 この問題はHuaweiスパイウェア疑惑が発端となったものです。カナダでは2018年12月、Huaweiのの最高財務責任者CFO)の孟晩舟副会長が逮捕され、日本でも同月、フジテレビが日本政府関係者の話として「製品を分解したところ、ハードウェアに余計なものが見つかった」「仕様書にないポートが見つかった」「日本のある法人向けのファーウェイ製スマホを分析したところ、スパイウェアが発見されたという。スパイの様な動きをする"悪質"なものだという」などという根拠がないと思われても仕方がないような報道をし、話題になりました。

 

japanese.engadget.com

japanese.engadget.com

同様の例としては、中国ZTE社がイランや北朝鮮に通信機器を違法輸出していた件につき、同社が虚偽の報告を繰り返していたことから米企業による部品輸出などを7年間禁止の制裁をうけ、破産寸前まで追い込まれました。

このように、アメリカ企業との取引はテクノロジー会社にとって生命線になっているといっても過言ではありません。そしてアメリカは大統領の権限が強く、大統領のペン一本で一企業を破産寸前まで追い込むことができます。中国企業は中国政府とべったりだなどという批判もありますが、このような点ではアメリカもとても恐ろしいことだと思います。

GoogleMicrosoftAmazonなどのサービスはとても便利で素晴らしいですが、もし米国政府が一つ令を出せば即撤退なんてこともありえなくはありません。基幹インフラを他国のサービスに任せるということは、このような事態にあう可能性があるという覚悟は必要ということです。特に現大統領での状況では。

なんにせよこの貿易問題、ハイテク冷戦ともいうべき状況が早く収束することを心から願うばかりです。