XPERIA AceとPixel 3a、どちらが良い?
ソフトバンク、docomo、auの新製品発表会が終わり、夏モデルが出そろいました。今回の特徴として、「端末代金と通信料金の完全分離化で、いかに端末を売るか」という中にあります。特に今回はdocomoが以前に完全分離の新プランを発表した中での新製品発表でした。
docomoの新製品一覧
xperia 1
galaxy s10 s10+
AQUOS R3
P30 pro
xperia ace
lg style2
arrows Be3
Pixel 3a 3aXL
今回発表された新機種の中でも特筆すべきものが「XPERIA Ace」と「pixel 3a」の存在です。
SONYは2015年頃から一部を除いて国内キャリア向けのスマートフォンではハイエンドモデルのみ販売していましたが、「XPERIA Ace」は久しぶりの国内向けミッドレンジモデルになりそうです。
Pixel 3aは、Googleのpixelシリーズ初の低価格帯ミッドレンジスマートフォンになります。
XPERIA Ace とPixel 3aのスペック
XPAEIA Ace |
Pixel 3a |
|
サイズ |
140mm×67m×9.3mm 約154g |
151mm×70mm×8.2mm 約147g |
CPU |
Snapdragon 630 |
Snapdragon 670 |
ROM/RAM |
64GB/4GB |
64GB/4GB |
ディスプレイ |
5インチ Full HD+(1080x2160) |
5.7インチ Full HD+(1080x2220) 有機EL |
バッテリー |
約2,700mAh |
約3,000mAh |
カメラ |
約1200万画素 |
約1200万画素(デュアル ピクセル) |
防水 |
IPX5/IPX8 |
IPX3 |
その他 |
おサイフケータイ対応 イヤホンジャック有 |
おサイフケータイ対応 イヤホンジャック有 Titan M搭載(セキュリティチップ) 3年間のOSアップデート |
価格 |
48,600円 |
46,656円 |
それぞれの比較して優位な点を赤字にしています。
単純なスペックシートだけですべてに優劣をつけるのはあまりよろしくないですが、仕様の限りでは多くの点でPixel3aが優位にあります。
Pixel 3aの特徴
- ミッドレンジの中では高性能なCPU
|
CPU |
3D |
UX |
RAM |
総合 |
Snapdragon 835 |
72,966 |
83,774 |
44,216 |
10,336 |
211,292 |
Snapdragon 820 |
55,474 |
65,957 |
39,266 |
7,587 |
168,284 |
Snapdragon 710 |
65,382 |
47,699 |
44,199 |
9,693 |
166,973 |
Snapdragon 670 |
61,000 |
44,000 |
41,000 |
11,000 |
158,000 |
Snapdragon 660 |
67,102 |
30,537 |
38,422 |
11,755 |
147,816 |
Snapdragon 636 |
51,632 |
21,288 |
31,695 |
6,572 |
111,187 |
Snapdragon 630 |
39,820 |
19,942 |
23,980 |
6,697 |
90,439 |
snapdragon670は既存のSnapdragon 660と710のあいだに位置するモデルで、CPUは710と同じKryo 360だが、動作クロックは200MHz低い2GHzとなっている(660はKryo 260で1.95~2.2GHz)。製造プロセスは10nm。
antutuベンチマークでも15万点台を出しているので、2016年のハイエンド端末と同じくらいの性能があると考えられます。
- ハイエンドモデル「pixel 3」と同じカメラ
Pixel 3a
Pixel 3a と Pixel 3a XL に搭載の夜景モードは、微光でも色鮮やかに撮影できます。もうフラッシュは必要ありません。また、Google フォトでは、無制限のオンライン ストレージを無料でご利用いただけます。
公式サイトにあるように、Googleは高性能なカメラを最も推しています。DxOMarkでは101点と現在のスマートフォンのカメラの中でもトップ15に入るほどの評価を得ています。特に「夜景モード」という機能が素晴らしく、手持ち撮影でもとても明るくきれいな写真が撮れます。
- セキュリティチップTitan M搭載
Googleは近年セキュリティに力を入れています。AppleのIOSに比べてセキュリティが脆弱と言われてきたandroidですが、専用のセキュリティチップを搭載することで、ハード面からウイルス攻撃の対策を行っています。iPhoneや通常のクアルコムのCPUでも仮想的にセキュリティ技術が搭載されていますが、ハードウェアでの対策の方が有利です。
- イヤホンジャック搭載
近年のハイエンドスマートフォンでは見ることが少なくなったイヤホンジャックを搭載しています。pixel 3/3XLでは比搭載でしたが、ミッドレンジ帯に降りてきて搭載されました。
- 高画質な有機EL
4万円台では貴重な有機ELを搭載しています。液晶に比べてコントラストがくっきりしていて、発色がいいとされています。特に黒の表現力はけた違いです。
- Googleによる3年間のアップデート保証
先日HuaweiのGoogleによるサポート打ち切りなどの問題などもありましたが、pixelシリーズは最低3年間のOSアップデートが保証されています。3aはAndroid 9(Pie)なので順当にいけばAndroid 12(S)?までサポートされる見込みです。
- Google play musicの3か月の無料特典
- 防水には非対応(防滴)
水没には対応できていません。IPX3なのでちょっとした雨や水しぶきにかかった程度の水なら大丈夫でしょうが、風呂に落とした、プールに落としたなどの水没だと故障する可能性が高いでしょう。
- SDカード非対応
ストレージは64GBでSDカードによる拡張は対応していません。しかしながら、Googleフォトのクラウドに高画質(多少の圧縮がされる)に容量無制限で写真をアップロードできるので、容量不足で困る可能性は低いと思われますが注意が必要です。
XPERIA Aceの特徴
- 5インチでコンパクトサイズ
XPAEIA XZ2 compact | XPAEIA Ace | Pixel 3a |
135mm×65m×12.1mm 約168g | 140mm×67m×9.3mm 約154g | 151mm×70mm×8.2mm 約147g |
18:9の5インチディスプレイであることから、幅67mmとかなりコンパクトです。
ディスプレイの大型化が進んだ今日ではこの幅のスマートフォンは珍しく、ある程度のスペックでコンパクトモデルを出し続けているXPERIAの専売特許といえるでしょう。
- ソニー独自のいたわり充電
満充電前に充電を一時ストップして負荷を軽減し、ユーザーの充電習慣にあわせて充電完了直前に満充電にすることでバッテリーの劣化を防ぐことができます。
- 超広角インカメラ
視野角120度の超広角インカメラを搭載しています。大人数で自撮りをするときにはとても便利な機能になるでしょう。
- 防水防塵、SDスロット搭載
- イヤホンジャック搭載
XPERIA XZ2シリーズから非搭載でしたが、国内のソニーのスマートフォンでは約一年ぶりにイヤホンジャックが復活しました。
- CPU性能は比較的低め
|
CPU |
3D |
UX |
RAM |
総合 |
Snapdragon 835 |
72,966 |
83,774 |
44,216 |
10,336 |
211,292 |
Snapdragon 820 |
55,474 |
65,957 |
39,266 |
7,587 |
168,284 |
Snapdragon 710 |
65,382 |
47,699 |
44,199 |
9,693 |
166,973 |
Snapdragon 670 |
61,000 |
44,000 |
41,000 |
11,000 |
158,000 |
Snapdragon 660 |
67,102 |
30,537 |
38,422 |
11,755 |
147,816 |
Snapdragon 630 |
39,820 |
19,942 |
23,980 |
6,697 |
90,439 |
Snapdragon 450 |
33,898 |
12,191 |
16,969 |
7,298 |
70,356 |
- CPU性能はハイエンドモデルに比べてだいぶ削られました。昨年のコンパクトモデルであるXPERIA XZ2 Compatの約1/3で、三年前のモデルのSnapdragon650を搭載したXPERIA X Compactとほぼ同等程度のスペックになります。エントリークラスのSDM450に近い性能なので、Pixel 3aがミドルハイならXPERIA Aceはミドルローと言うのがふさわしいでしょう。
まとめ
- 必要な機能をよく吟味して選ぶべき
microSDカードや防水への対応、ハイエンドモデル同様のカメラなど、どちらかを天秤に掛けなけばならない機能もあります。特に重要と思えない機能をしっかり判断して機種選びをすることが大切でしょう。
- XPERIA Aceにはセールスポイントが足りない。(個人的感想)
XPERIA Aceですが、Pixel3aと単純に比較してしまうと、完全防水が絶対必要な人、画面が小さいのは好きな人、デザインが好みでないとXPERIAを選ぶ理由が考えられないとも思います。
理由としては両機種とも価格を抑えるために上位モデルから様々な機能を削っている中でXPERIAはこれといった大きな特徴のない平凡な機種になってしまったと思えるからです。Pixel3aシリーズは廉価版だからと言ってカメラ機能を妥協せずにハイエンドモデル同等に仕上げているところはとても評価できます。これは大きなセールスポイントになりますし、実際惹かれますね。そのうえXPERIAより低価格に抑えているとは…
対してXPERIA Aceは防水防塵であることやSDカードを入れられることは妥協しませんでした。が、逆に言うとその程度です。これらは特に素晴らしいと思うような機能でもないですし、arrowsなどでも代替できます。カメラに力を入れたといってもXPERIAのカメラはPixel3aに太刀打ちできるとは思えません。結果、広いベゼルに分厚いボディ、CPU性能もダウン、平凡な機種になったなと。
これまでほとんど高価格モデルしか出していなかったうえ、スマートフォンの性能がある程度あれば十分になったことによるミッドレンジ帯の普及や、高性能モデルでも他社にデザイン、機能面でも遅れ続けたことなどによって端末販売台数が激減し、売り上げも落ち赤字に転落しているソニーモバイルコミュニケーションズ。メーカー各社が低価格高性能なスマホの開発でしのぎを削っている中で、サイズが小さいといった特徴しかないミドルクラスの投入はナンセンスで遅すぎた判断だと思います。
しかしながら、日本国内のスマートフォンメーカーであるソニーには根強い人気があるので、どちらもそれなりに売れるでしょう。
アメリカによるHuaweiの制裁問題を考える
2019年5月、トランプ大統領の「情報通信技術とサービスのサプライチェーンの保護に係る大統領令」を発端にアメリカ商務省が「禁輸リスト」にHuaweiとその関連企業を追加したことにより、HuaweiはGoogleやIntel、クアルコムやマイクロソフトなどのアメリカ企業との取引が停止されました。
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この制裁が及ぼす影響は?
影響がもう出始めています。5月22日にはdocomoがP30 proの予約の停止を発表し、auとワイモバイル、UQモバイルがP30 lite(premium)その販売の延期と予約の停止を発表しました。
ドコモからのお知らせ : 「ドコモ スマートフォン HUAWEI P30 Pro HW-02L」の事前予約受付の停止について | お知らせ | NTTドコモ
HUAWEI P30 lite Premium(ファーウェイ ピーサーティー ライト プレミアム) HWV33 | スマートフォン(Android スマホ) | au
「HUAWEI P30 lite」の発売延期について|新着情報|お知らせ|Y!mobile - 格安SIM・スマホはワイモバイルで
米商務省は5月20日、禁輸措置をめぐり、通信ネットワークの保守など一部業務に限って90日間猶予すると発表していますが、90日後以降は完全に不可能になることから既存のHuaweiスマートフォンはGooglePlayなどが利用できても、OSアップデートなどは受けられなくなる可能性がかなり高いです。
・ソフトウェア面
GoogleはオープンソースのAndroidOSをもとに様々なサービスを展開しています。OSアップデートやセキュリティパッチなどの技術的なサポート、GmailやGoogle playストアなどもこれに含まれています。
Androidスマートフォンを購入した時、初めにGoogleアカウントへのログイン画面が出ることや、様々なGoogle関連のアプリがプリインストールされているところから、大きくGoogleに依存していることがわかりますがこのGoogleに関連する機能がすべて使用不可になるということです。
・Google Playストア
・Googleドライブ
などのGoogleが提供しているサービスをHuaweiは今後プリインストールして出荷することができなくなります。中国国内ではGoogle関連サービスの利用が禁止されていますが、国外での影響はかなり大きいとされます。
・ハードウェア面
Huaweiはハードウェアの多くの部品をアメリカ企業に依存しています。ほとんどのCPUは傘下のハイシリコン製のkirinシリーズを採用していますが、P20 proの例を挙げると、メモリは米Micron社製のDDR SDRAM、CypressのBluetoothモジュール、SkyworksのLTEモジュールを使用しているなど、この限りではありませんがかなりアメリカ企業の部品に依存しているのが見て取れます。今後これらが利用できないとなると、多少なりともの影響は必須です、
・現在発売中の機種ではGoogleのサポートが受けられる(はず?)
For Huawei users' questions regarding our steps to comply w/ the recent US government actions: We assure you while we are complying with all US gov't requirements, services like Google Play & security from Google Play Protect will keep functioning on your existing Huawei device.
— Android (@Android) May 20, 2019
Googleは20日に既存のHuawei製デバイスのユーザーはGoogle PlayストアとGoogle Play Protectサービスを引き続き利用できると発表していますが、OSアップデートやその他のサポートが今後どうなるかについては言及されていません。
またHuaweiは「既存のスマートフォンやタブレット製品のすべてにセキュリティーアップデートとアフターサービスを提供し続ける」と発表しましています。
・ユーザーにとっては全く好ましくない問題
Google関連のサービスはスマートフォン、パソコン、テレビなどに広がり現在は生活の一部になっていると言っても過言ではない状況になります。この中でスマートフォンでGoogleが使用できないとなると大きな問題ですが、完全には利用できないわけではありません。米国政府が禁止したのはHuaweiへのアメリカ製品の輸出であり、そのHuaweiのスマートフォンを利用するユーザーがGoogleなどのサービスを利用することを禁止しているわけではありません。例えばAmazonが販売しているFireタブレットは、androidベースのFire OSを利用しており、GooglePlayストアを利用することができませんが、非公式に手動でインストールすることができます。
しかしながら非公式な手段ですので基本的には使用することができないと考えられます。いくら高性能でも日常利用されているGoogleサービスが無いスマートフォンを購入しようとする人はいないでしょう。このような大国同士の貿易戦争が一般ユーザーに影響を与えることは良くないことであり、関連してナイキやアディダスなど著名ブランドを含む靴メーカー約170社が20日、トランプ氏に「消費者と企業、そして米経済にとって破滅的な影響をもたらす」と公開書簡を宛てています。
Huaweiはスマートフォンだけではなく、Windowsノートパソコンも手掛けていますが、Intelから製品の供給を受けないと成り立たせることがは不可能といえるでしょう。
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まとめ
この問題から考える、アメリカ製品のリスク…
この問題はHuaweiのスパイウェア疑惑が発端となったものです。カナダでは2018年12月、Huaweiのの最高財務責任者(CFO)の孟晩舟副会長が逮捕され、日本でも同月、フジテレビが日本政府関係者の話として「製品を分解したところ、ハードウェアに余計なものが見つかった」「仕様書にないポートが見つかった」「日本のある法人向けのファーウェイ製スマホを分析したところ、スパイウェアが発見されたという。スパイの様な動きをする"悪質"なものだという」などという根拠がないと思われても仕方がないような報道をし、話題になりました。
同様の例としては、中国ZTE社がイランや北朝鮮に通信機器を違法輸出していた件につき、同社が虚偽の報告を繰り返していたことから米企業による部品輸出などを7年間禁止の制裁をうけ、破産寸前まで追い込まれました。
このように、アメリカ企業との取引はテクノロジー会社にとって生命線になっているといっても過言ではありません。そしてアメリカは大統領の権限が強く、大統領のペン一本で一企業を破産寸前まで追い込むことができます。中国企業は中国政府とべったりだなどという批判もありますが、このような点ではアメリカもとても恐ろしいことだと思います。
GoogleやMicrosoft、Amazonなどのサービスはとても便利で素晴らしいですが、もし米国政府が一つ令を出せば即撤退なんてこともありえなくはありません。基幹インフラを他国のサービスに任せるということは、このような事態にあう可能性があるという覚悟は必要ということです。特に現大統領での状況では。
なんにせよこの貿易問題、ハイテク冷戦ともいうべき状況が早く収束することを心から願うばかりです。